Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
大分経ってから、女中が出て来て、「あの、こっちへお上んなさいな。」
お作は女中部屋へ上った。女中部屋の窓の障子のところに、でこぼこの鏡が立てかけてあった。白い前垂や羽織が壁にかかっている。しばらくすると、夫人がちょっと顔を出した。痩せぎすな、顔の淋しい女で、このごろことに毛が抜け上ったように思う。お作は平たくなってお辞儀をした。
「このごろはどうですね。商売屋じゃ、なかなか気骨が折れるだろうね。それに、お前何だか顔色が悪いようじゃないか。病気でもおしかい。」と夫人は詞をかけた。
「え……。」と言ってお作は早産のことなど話そうとしたが、夫人は気忙しそうに、「マアゆっくり遊んでおいで。」と言い棄てて奥へ入った。
しばらく女中と二人で、子供をあっちへ取りこっちへ取りして、愛していた。子供は乳色の顔をして、よく肥っていた。先月中小田原の方へ行っていて、自分も伴をしていたことなぞ、お竹は気爽に話し出した。話は罪のないことばかりで、小田原の海がどうだったとか、梅園がこうだとか、どこのお嬢さまが遊びに来て面白かったとか……お作は浮の空で聞いていた。
外へ出ると、そこらの庭の木立ちに、夕靄が被っていた。