Classiques japonais avec furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lisez 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 586 caractères · 348 écrans
ものの心持が自由に現われる。その点がこの食品の正式の供饌として、欠くべからざるものになった原因らしいのである。この目的のためにも、現代の餅は一番に苦心を要する。鏡餅の腰を高く、あまり取粉を使わずに色沢のよいものを作ろうとすれば、相応に手腕のある餅搗きを頼まなければならぬ。それに比べるといわゆる団子はやや便利であるが、さらに今一段と理想的なものとして、昔からシトギというものがあったのである。シトギの製法は全国ほぼ共通で、一見したところいかにも古風である。洗い清めた白米を或る時間水に浸し、それが柔かくなったのを見測らって小さな臼に入れて、手杵すなわち竪の杵で搗き砕くのである。そうして生のままですぐに折敷の上に取るのだから、巧みを加えずとも自然に御鏡の形に成るのだが、今日の生活においては、それだけのものを出来上った食物と言えるかどうかが、まだ少しばかりの問題にはなり得る。この点は米をなまで食う習慣の消長と大きな関係がある。日本人の歯というものは、何かよくよくの理由があって、近世に入って急にその働きが鈍り、入歯だ金歯だという騒ぎがえらくなった。米噛みという名称は、まだ記憶せられているにもかかわらず、それを意識する機会は絶無になりかけている。