Classiques japonais avec furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lisez 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 586 caractères · 348 écrans
関東の山村でカッコというのは蕎麦カキのことだが、岡山地方の田処で、カキコと謂っているのは米の粉を湯でかきまぜ、甘藷の煮たのなどとともに食う、飯の不足な急場に作るものだそうである。奥羽の八戸あたりでカッケというのも、名前の起こりは同じであろう。現今は練ってからもう一度でるので、やや食い方のちがった蕎麦切りに過ぎぬが、元は只かいて食うからカッケと名づけたものと思う。
能登ではカイノゴは三番以下の籾まじりの粗米で、団子の材料にするものだと謂っているが、その米の粉をもまたカイノゴというから、やはりかい餅にする粉という意味であった。それを汁に入れて再び煮たものを、伊勢ではやはりカイノコ汁というのは、是も奥州のカッケのごとく、のちに調理法がやや改良したのである。多くの食物史家には無視せられてしまったけれども、穀粉の消費も古くから相応に多く、殊に小麦粉が石臼で挽かれるようになると、それだけまた農民の食品は変化を加えたのである。信州の北部でツメリ、関東でツミイレと謂ったのは、通例粗米の粉を水で練って汁の中に投じて煮たものであった。関西ではこれを汁団子、または単に汁ワカシとも謂って、冬分三食の一度はこれを食わぬ農家も稀であった。