Classiques japonais avec furigana
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しょくぶつき
植物記
牧野 富太郎
Lisez 植物記 (しょくぶつき) de 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 165 848 caractères · 327 écrans
昔の人は、支那に行ったことはなし、支那の標品を見たことはなし、支那に完全なる書物はないから、実物が分からず、ただ想像で言って居るに過ぎない。燕子花は町によく売って居る飛燕草の類で、学名は Delphinium grandiflorum L. var. chinense Fisch というのです。これは北京の北の長城辺の野山に行くと沢山生えて居るらしい。痩せ長い茎の下の方には分裂した葉が着いて居って、上に行くと直径一寸ぐらいの花が五つ乃至七つぐらい咲いている。後ろに角のような距が出で、花びらは開いて、綺麗な紫の花である。だから燕と言える。とにかく燕子花というのは日本にはない。カキツバタにはまだ支那の名は見附からない。
それからカキツバタに杜若という漢名を俳人や本草学者が前からよく用いて居った。今でも俳句などをやる人は杜若と書かないと気が済まない。俳人というものは割合に頑固で、昔の儘の膠着状態を続けて、誤りをあえてして居る。杜若もそうです。尤も俳人が決めたのではなくて、昔の学者が決めたのです。小野蘭山の出た本草学の爛熟時代になって杜若はカキツバタではなく、ヤブミョウガだと言出した。