Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans
「私は一般の例を云ったまでだ」
「貴方自身はどうです」と七十郎はたたみかけた、「他人の生死は痛くも痒くもない、どんなにでも達観したようなことが云えますよ、だが、そんなものは山寺の小坊主の寝言だ、死ということを知らない貴方が、死について悟ったようなことを云ったって、聞いているほうにはただ可笑しいばかりです」
「では一つだけ云おう」と甲斐は微笑しながら云った、「私はおとついの晩、品川の下屋敷で、刺客に襲われた」
七十郎は眼をそばめた。なにを云うかといったふうに、眼をそばめて甲斐を見、甲斐は微笑したまま続けた。
「月見の宴に召されて、お盃を頂いたあとのことだ」
「貴方に、刺客ですって」
「望岳亭からさがる途中、暗闇からいきなり、抜き討ちをしかけられた」
七十郎は唾をのんだ。
「幸い命は助かったが、ほんの一歩ちがえば死ぬところだった、嘘も隠しもない、あとでみると袖と袴が切れていた」
「なに者です、それはなに者ですか」
「知らない」と甲斐は首を振った、「私は顔もよく見なかったし、名も訊かずに放してやった、なぜだかわかるか、わからなければ云おうか」
七十郎は聞きましょうと、しゃがれたような声で云った。