Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans

Aozora Bunko

いることから判断いたしますと、今夜か明朝か、というほど早急とは考えられません」

新左衛門は「ああ」と喘ぎ、もういいというふうに頷いて、甲斐のほうを見た。

医者は座をさがり、甲斐に会釈をして立ちあがった。次ノ間にいた若い家士が、医者を送ってゆき、甲斐は立って、新左衛門の枕許へいって、坐った。新左衛門は痩せて、干からびたように、小さく、ちぢんでみえた。皮膚は乾いた土色をしてい、唇は白く、おちくぼんだ両眼は膜をかぶったように濁っていた。

「よく来てくれた、御用の暇を欠かして済まない」

「寺池さまの、弓のお相手をしていたところだ」

「靱負」と云って、新左衛門は家扶を見、「起こしてくれ」と命じた。

家扶は迷って、助言を乞うように甲斐を見た。甲斐は立ちあがって、手を貸そうと云い、家扶と二人で、新左衛門の半身を起こし、前に脇息を置いて、凭れかかるようにしてやった。だが、それはむりだったらしい。新左衛門は脇息に凭れて、さもこころよさそうに、二度ばかり深く息をついたが、すぐに首を振って、「だめだ」と云った。だめだ、寝かせてくれと云い、苦痛の呻きをこらえるために、歯をくいしばった。