Classiques japonais avec furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans
玄四郎にはあまりに思いがけない話しで、われ知らず自分の立場をも、うちあけたくなった。
――だが待て、慌てるな。
と彼は危うく自分を制止した。
――なんのためにこんなことまで話すのか、その理由を聞いてからにしよう。
こう思って、彼はその続きを待った。
そのときおみやは、話しをやめて、そっと玄四郎を見あげ、すぐにまた俯向いて、これで自分の過去は残らず話した、と云った。
「この春、向島でおめにかかったときのことを思いますと、自分で自分をずたずたにしたいほど、恥ずかしゅうございます」おみやは手で顔を掩った、「あのときから、わたくし自分のして来たことが恥ずかしくなり、これではいけない、できることならまじめな、女らしい女に生れ変りたい、と思うようになりましたの」
「しかし、兄という人がいるのでしょう」
「兄にもそのことを話しました、もうわたくしを当てにしてくれるなと、はっきり断わりを云いましたの」
「それで、――」と玄四郎はおみやを見た、「柿崎どのは承知されましたか」
おみやはかぶりを振った、「承知いたしませんし、いやなら邸からさげてしまう、また元のように身を売らせる、と申して威してまいります」