Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans

Aozora Bunko

――東市正。

兵部はその子を溺愛していた。六十万石分割のことも、東市正が三十万石の領主になる、という夢を実現したいからである。雅楽頭もそこへ罠を仕掛けた。自分の親族にそんな小大名がいては不面目だ、東市正は国持ち大名になるべきである、というふうに。――東市正は、兵部にとって夢と希望そのものであった。甲斐はそこを押えた、疑心の強い兵部にはもっとも効果のある、暗示のかたちをとって。兵部は甲斐の手中に落ちた。

「では、置毒の事実は伏せるほうがよいというのだな」

「さような事実は、なかったのです」と甲斐が答えた、「鬼役三人は単純な食あたりで、医師道円は関係なく、料理人だけ軽い咎めということに致しましょう、少なくとも、妄説に昏まされた者どもの血気がおさまり、東市正さまに累の及ばぬ時期が来るまでは」

「わかった、わかったが」

兵部はおちつきなく、両の手を組み、指を揉みしぼった。

「ことによるとまにあわぬかもしれぬ、すぐ手配をしてもらいたいが、ことによるともう仕置をしてしまったかもしれぬ」

「と仰せられますと」

「いやわからぬ、まにあうかもしれぬ」と兵部が云った、「とにかく処置はいまのようにして、すぐその手配をしてもらおう、明朝はなるべく早く、再評定をひらくことにする」