Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans
地鶏が打撃を二度加える間に、彼は一度しか加えることが出来なくなった。そして、どうかすると、ひょろひょろと相手の股の下をくぐって、その打撃を避けた。
老雄の自信はついにくだけた。
彼は、黒ずんだ鶏冠に鮮血をにじませ、嘴を大きくあけたまま、ふらふらと築山の奥に逃げこんだ。
若い地鶏は、勝に乗じてそのあとを追ったが、やがて、築山の頂に立って大きな羽ばたきをした。そして牝鶏の群を見おろしながら、たかだかと喉笛を鳴らした。
次郎はほっとして、立ち上った。
そして大きく背伸びをしてから、そろそろと築山の陰にまわって見た。老英雄は、夢にも予期しなかったわかい反逆者のために、そのながい間の支配権を奪われて、ひっそりと垣根に身をよせている。
築山の上では、地鶏がもう一度勝鬨をあげた。それから、土を掻いて、くっくっと牝鶏を呼んだ。
次郎は急に勇壮な気持になった。彼の体内には、冷たい血と熱い血とが力強く交流した。つづいて影のようなほほえみが、彼の顔を横ぎった。
その夕方、彼は誰の迎えも受けないで、急に正木の祖父母に挨拶して、一人で自分の家に帰ったのである。
一六 土橋
次郎は、それ以来、学校の往復に俊三のお伴をすることを、断じて肯んじなかった。