Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans

Aozora Bunko

お民は、次郎のそうした変化を、内心喜んだ。彼女は、自分の教育の力が、やっとこのごろ次郎にも及んで来たのだと思ったのである。そこで、彼女は、この機を逸してはならないと考えて、何かと次郎に接近しようと努めた。これは次郎にとってはまことにうるさいことであった。しかし、この頃では、以前ほど叱言も言わないし、時としては、思いがけない賞め言葉を頂戴したりするので、次郎の母に対する感じも、いくらかずつ変って来た。

ただ祖母に対してだけは、次郎は微塵も好感が持てなかった。彼女は、お民とちがって、よく食物で次郎をいじめた。お民は、その点では、三人に対してつとめて公平を保とうとした。少なくとも、三人をならべておいて、あからさまに差別待遇をするようなことは決してなかった。ところが祖母は、そんなことは一向平気で、お民の留守のおりなどには、食卓の上で、わざとのように差別待遇をした。

「次郎、お前、どうしてお副菜を食べないのかい。」

「食べたくないよ。」

次郎は決して、自分の皿の肴が、兄弟の誰のよりも小さいからだ、とは言わない。

「可笑しいね。ご飯はそんなに食べてるくせに。」

そう言われると、次郎は、それっきりご飯のお代りもしなくなる。