Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans

Aozora Bunko

しかし、直吉の顔は、頑として南の方を向いたきりで、どうにもならなかった。どうにもならないどころか、直吉の足は、かえってそのために、一層速くなる傾向さえあった。

次郎はしくしく泣き出した。泣き出しても、直吉は一向平気らしかった。彼はずんずん南の方にあるくだけで、口一つ利こうとしない。次郎は泣きながらうしろを振りかえった。学校の建物が夕暮の光の中に、一歩一歩と遠ざかっていくのが、たまらなく淋しい。

こうなると、次郎はあきらめてしまうか、戦うか、二つに一つを選ばなければならなかった。彼は決然として後者を選んだ。――元来、次郎の勇気は学校との距離に反比例し、実家との距離に正比例することになっていたので、戦うならなるべく早い方が歩がよかったのである。

なお、彼が肩車に乗っていたことも、彼にとっては、有利な条件だった。それは、直吉の髪の毛や耳朶を、自由に掴むことが出来たからである。しかも幸いなことには、直吉の髪の毛は相当長かった。彼は早速髪の毛をむしることにした。

「痛いっ。」

直吉は頓狂に呼んだ。しかし、彼の歩いて行く方向は、依然として変らない。従って、次郎の進む方向にも一向変化がないのである。