Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans

Aozora Bunko

めったに誰も笑わなかった。角帯の人たちは、おりおり下卑たことを言って、みんなを笑わせようとしたが、村人たちは顔を見合わせて、かえってにがい顔をした。女の人もかなり来ていたが、中には、そっと眼頭をおさえている者すらあった。ただ俊亮だけが、いつも微笑を含んでいた。

次郎は、そうした人達の表情を、ほとんど一つも見逃がさないで見ていた。俊亮のほかに、家の者でその場に顔を出していたのは、次郎だけだった。彼は、しばしば茶の間から、母に呼びつけられて、

「子供の見るものではない。」

と叱られたが、どんなに叱られても、彼は、また、いつの間にか座敷にやって来ていた。

彼の心をひかれた品物が誰の手に渡るのか、そして、その人がどんな顔付をして、品物を受取るのか、それが、無性に見たくて仕方がなかったのである。

売立が始まってから、二時間もたった頃、竜一の父が診察着のままで、あたふたとやって来た。そして、俊亮に何かこそこそと耳打ちした。しかし俊亮は、

「御好意は有難う。だが、いずれ一度は始末をつけなければならんのでね。……いや、全くどちらにも相談なしさ。」

竜一の父は、軽くうなずいた。