Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 223 caractères · 320 écrans
しかし、また考えようでは、恐ろしく大胆になったとも言える。彼は、露見の恐れがないという自信さえつけは、しゃあしゃあと嘘もつき、思い切っていたずらもやった。尤も、盗み食いだけは、どんなにいい機会に恵まれても、湯殿での父の言葉を覚えていて、断じてやらないことにした。――彼は、父だけは欺いてはならないような気がしていたのである。
時として彼は、母や祖母の前で、ことさら殊勝なことを言ったり、したりしてみせた。無論そんなことで、母や祖母が、心から自分に対して好意を寄せるようになるだろう、とは期待していなかった。しかし彼らを油断させる何かの足しにはなると思ったのである。
もし、周到な用意をもって、大胆に事を行うということが、それだけで人間の徳の一つであるならば、彼は、こうした生活の中で、すばらしい事上錬磨をやっていたことになる。しかし、策略だけの生活から、必然的に育つものの一つに残忍性というものがあるのだ!
次郎は、毎日庭に出ては、意味もなく木の芽を揉みつぶした。花壇の草花にしゃあしゃあと小便をひっかけた。蜻蛉を着物にかみつかせては、その首を引っこ抜いた。