Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans
「夜更けになっても、一頃と違って楽になった。春だなあ、金吾」
「早いもので、もう二十日余り、よく御根気がつづきました」
「根岸に残しておいた月江や次郎、そして釘勘なども、さだめし、どうした事かと消息を案じておろうな」
「釘勘へは、先日、黒鍬の剛兵衛殿に手紙を頼んで、近況を知らせておきました故、まず、御無事の点だけは、安心いたしているだろうと存じます。……しかし若殿」
金吾は前後の木立を見廻して、万太郎に切株の根を床几にすすめ、自分は土へじかに膝行袴の腰をおろしました。
作兵衛滝の水の音が、疎林の裏あたりにどうとうと夜気をゆすって鳴る。
夜は三更か四更か、とにかく深々たる丑満の前後にはちがいありません。しかし、気候もすでに如月の中旬、風はぬるく、樹肌は汗ばみ、月は湯気に蒸されたように朧な晩――有情の天地が人に与える感じも、二十日前の霜針を立てていた頃とは、だいぶ違ってまいりました。
しかし若殿――と声をひそめた金吾は、四隣の気配を探ってから、
「意気地のない事を申すのではありませんが、ここ二十日余りの間に、夜ごと、船見山、嵐山、赤壁渓の附近、ずいぶんと隈なく捜索いたしましたが、いまだに、ピオの遺蹟というような石碑一つ見当りませぬ」