Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans
「ウーム、こりゃ深い。まるで井戸のようだ」
馬春堂は、伊兵衛のかざす蝋燭の流れを背中へポタポタ浴びながら、石神堂の床穴へ体をのめりこませていましたが、やがて遂に、
「とても駄目だ!」
と、絶望の声を放つ。
「ま、待ちねえ」
強悪な伊兵衛の声もふるえています。
「深いからといって、このまま諦らめるわけにゃ行かねえ。ウム……こうして見りゃおよそ底の見当がつくだろう」
手につかんでいる蝋燭を、火のついたまま一本一本床下の穴へ投げ落として見ますと――それは美しい一条の光をひいて、直線に真ッ暗な地底へ吸われてゆきましたが、ある程度まで下がってゆくと、ふッ、ふッ、と魔ものの息にかけられたように消えて、伊兵衛の機智もなんらの効果を見せません。
「ちぇッ」
と、舌打ちをしたものの、最後の一本まで投げてしまえば、上も暗やみになってしまうので、それは賽銭箱の上へ蝋を溶かして、ていねいに立てかけながら、
「馬春堂、帯を解きねえ、帯を」
「な、なにをするんだ」
「おれの三尺や何かもつなぎ合せて、この穴の底へ降りてみるから」
「よしな、あぶない芸当は」
「虻も蜂もあるものか、大事な洞白の仮面箱――そりゃまあいいとしても、あの夜光の短刀のことが書いてある書物を、こんな所へ落としちまっちゃあ仕様がねえ」