Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans
高麗村の御隠家様がおッしゃった。――次郎よ、道中は嬢の体を何分たのむぞ、今年は、おまえがついてゆく番なので、わしも大きに安心じゃ――と。
「さあ、一大事」
彼も責任感に責められました。
温泉郷の平和な日になれて、毎日、日金山へ蜂の巣や鳥の雛子ばかりさがしに行っていて、もしやの事があった場合は、何といって、御隠家様の前へ出よう、あの高麗村へ帰ってゆこう。
次郎は草を蹴って、野づらを斜かいにスッ飛びました。そして、横磯の海辺に立ち、左右の浪打ち際を見渡しましたが、
「ウーム、見えないぞ」
と、太い息でうめくばかり。
潮のけぶる長汀に、まだ明るい残照の陽かげが、ところどころ、夕霞を破ってはおりますが、次郎の視線のとどくかぎり、月江様らしい人影は見当りません。
「どこだ、どこだ。おいらのうちのお嬢さまは?」
次郎は波うち際を韋駄天となって駆けだしながら、
「月江さまア」
と、大声を張りあげましたが、その声には、一脈の哀傷と不安なものがカスれていました。
――駆けるほどに、呼ばわるほどに、暮れかけている横磯の長汀は、またたくうちに、次郎の飛ぶ足のうしろとなって流れ去りましたが、かくてもまだ、その人に似た姿は先に見えません。