Classiques japonais avec furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans
――しかもその来歴をつぶさに書いたこの口書が、転々して御隠家様のお手に這入るは、まったく不思議な巡り合せで」
「わしも因縁の奇なるに一驚を喫した。しかし、こういう物が世上にもれているとすれば、あの方のことも悠長に構えてはおられない。これは当家に取ってもいい刺戟じゃ」
「仰せに相違ございませぬ」
「久米之丞、お前もせいぜい骨を折って、一日も早くあの短刀を尋ねてくれ」
「承知仕りました。だんだん捜査の端緒も見えております故、今に必ず尋ねだして御覧に入れます。……が、御隠家様」
と、久米之丞は抜かりのない目つきをして、ギシッと網代竹の卓を押して来ました。
「む……何じゃ」
と、千蛾は「ばてれん口書」をふところに入れて、快く髯をまさぐる微風に目を細めています。
「……もし、何でございましょうか」
「もし、何じゃ?」
「その夜光の短刀を、拙者が尋ねてお手元へ差上げましたなら」
「ふム」
「つまり、由緒ある御当家には、御不幸にして、跡目をつぐ男子がございませぬ」
「何をいう。分らんの」
「いや、その……」と久米之丞は、ヘドモドしながら、ここ懸命になって、
「押しつけがましゅうござるが、拙者と月江殿をお娶合せ下さること、お許し願えましょうか」