Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans

Aozora Bunko

「あら、いやだ」

と、娘手踊りの連中が、こわそうに首をちぢめて見送ったのも無理ではありません。

「太夫さん、御案内して来ました」

と、出方の男が去ると、

「さ、おはいんなさい」

うすら覚えのあるお粂の声が内でする。

野槍をそこに立てかけて置いて、次郎はおずおずとビラ幕を捲り上げました。そして、女に無関心な彼の目にも迫るような濃艶な顔が、

「あら」

と、笑いながら迎えると、

「今日は」

取って付けたようにそう言ったきり、次郎はなんだか間が悪くなって、あとの言葉が出ないのでありました。

「ここは狭いけれど、私の世帯なんだからね、たれにも遠慮はいらないんだよ。さ、こッちへはいって、お菓子でもお食べ」

茶をついでやったり、お重箱の食物を出して与えたりしましたが、お粂がもてなせばもてなしてやる程、次郎はもじもじして、いつもの野趣の風がない。

けろんとして、鏡台のまわりの紅皿や白粉つぼ、釘にかけてある三味線や赤い長襦袢や浅黄繻子の衣裳、または金糸の元結をたッぷりかけた相手の人の唐人髷などを、物珍しげに見廻している。

それらの、あまり目馴れない強い色彩が、彼を脅迫するものですから、自然児の次郎の自然児らしいところは、ビラ幕の外へ立て掛けて来た野槍と共に、すッかりどこかに置き忘れて来た体であります。