Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans

Aozora Bunko

それでもお蝶は、脱ごうとしません。

この仮の顔は、彼女が武蔵野の草深い所から、夜旅をつづけて来た唯一の護りでありました。昼は宿に寝、夜ばかり歩く若い女の身を、無事に護ってくれたのはこの鬼女の仮面です。

野路、山路、あるいは真っ暗な松並木で、偶悪い男に出会っても、この仮面をつけて、道のまン中を静かに歩いていれば、向うで悲鳴をあげて逃げても、指をさす憂いがまったくありません。

――その後、女影の原に通り魔が出るという噂が立ったのを聞いて、彼女は、いよいよこの化身の効果を信じておりました。

さて。

そうしてお蝶が峠の二合目あたりを辿って行くうち、信玄沢という低地を、近廻りして、何者でしょうか、ざわざわとかき分けて来る者がある。

影をかぞえると、三人か、四人。

それは、宵に若い女の夜立ちを見つけて、幸運の抬い物でもしたように、麓から尾けて来た立場人足とおぼしく、

「ほい、また岐れ路だ」

「どッちへ行きやがったろうか」

「女の足だ、先は裏道の嶮しいところとも知らずに、その平地な方へ向ったにちがいねえ」

などと、飢えたる狼のように、女肉の香いを嗅ぎ慕って、御苦労にも、この山中へ後を追って来たものです。