Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans

Aozora Bunko

…………

こういう事態の起こっている間に、柳町の掛小屋では、今が木戸番の声や鳴物の客呼びがたけなわのところであります。

縫いぐるみの衣裳に汗と白粉を流して、舞台で働いている粂吉や一座のものたちも、まさかそうしている間に、留守の家をうかがう妙な黒衣の群があろうとは夢にも考えておりますまい。

「ああ、ほっとした」

今、こう言いながら、その釜熱の木戸口から、逃げるように出て来たひとりの男。

ひょいと見ると秦野屋九兵衛であります。

なかの人いきれがよほどたまらなかったとみえて、出ると、未練に絵看板をながめてもいず、スタスタと歩いてゆく。

歩きながら笠をつけ、少し横目に裾を折ると、これは立派な旅人です、同じ歩くにもその形で、旅なれた者か否かはすぐわかる、飛脚や修業の侍などの間には、歩術という足と呼吸と身だしなみの定則さえあったといいます。年はとっても老賊の九兵衛にその面影があるのは当りまえでしょう。

そうして彼の足どりが、加速度になってゆく間に、時々ちょっと足を止める。

「おう」

「秦野屋さんで」

逢うのはみんな日本左衛門の手下、この甲府に入りこんで、飛耳張目となって町をうろついている者達です。