Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans

Aozora Bunko

これだから、こういう魔力のある金に生涯をスリへらしてしまう泥棒渡世も絶えないわけだな、と九兵衛も少しイヤ気がさしました。

飛脚男は三通を手に取って、

「エエと、濁橋ぎわ蔦屋内、お蝶様。これが一通。……甲府お町方御役宅内、徳川万太郎様。……それから西小路庄右衛門様方、稲吉殿。この三本でございますね」

「さようでございます」

「庄右衛門っていうのは文身庄といって、あまり評判のよくない入墨師の親分ですが」

「さようで」

「三本ともずいぶん毛色の変った宛名人でございますね」

「へへへへ。どうかお早く」

「あ。返事は?」

「返事はみんないりません。置きっ放しで結構なんで」

「じゃあ手間はかかりませんから、早速これから届けてきますから」

「どうか、たしかに」

肩の荷でもおろしたように、九兵衛はそこの蔀を潜って外に出て来る。

これで、彼の今夜の意図は、のこらず済んだのかと思いますと、まだしのこした仕事があるふうで、その健脚らしくもない細い脛が、まだぴたぴたと夜更けの町を急いでいます。

そうして、とどのつまりに来た所は、宵にあの惨劇のあったお粂の家からわずか、一、二町ほどしか離れていない鍋屋小路の一角です。