Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans
おめえの心も察しるが、金吾様の――侍というもののさ、苦しい立場も考えなくちゃいけねえ。それに、たとえおめえが助かったにしても、いつか一度は、日本左衛門が無事に見ているはずがない。きっとおめえは殺される。金吾様に殺されなければ、日本左衛門かその手下の者に闇打ちされるにきまっている体だ。――どっちがいい? え? どっちが自分の本望だか、こいつあ、考えてみるまでもねえじゃねえか」
と、九兵衛が彼女のそばにしゃがみ込むと、それにも返辞はなくて、ただ草のなかに顔を埋めたお粂の白い手足が、わなわなと指先にまで痙攣を起こしてきています。
「おや?」
びっくりした九兵衛が、お粂のからだを抱きおこしてみますと、その硬ばった手のひらのうちに一個の小さな紫色の壜を握って、顔は、なんともいえない白さを増し、スヤスヤと寝息のような呼吸をかぞえるにつれて、そのうつつなひとみも、黒い睫にふさがれてゆきます。
抱き起してみた途端に、ぐッたりとしたお粂の襟元から、つーん……と異様なにおいが鼻をついて来ましたので、
「あっ、魔薬」
と、九兵衛はあわてて、自分の顔半分を袖口で掩いかくすことを忘れませんでした。