Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lisez 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 577 271 caractères · 1141 écrans

Aozora Bunko

火光が射して初めて知れたのは、いつのまにか、もうもうとした黒煙りのうずが、本堂の伽藍いッぱいに立ちこめていたこと。

その、まっ黒な濃煙が、ゆるい運動をえがいているなかに、金吾と日本左衛門の影は、すでに法や格を無視したところの殺剣を交ぜて、鏘々たる火花をちらし合っている。

もう、眼を向けられない煙です。いずれが金吾か、いずれがこれか、その識別もつかないまでに。

ふと見ると、内陣の深くは、赤い蜘蛛の巣がかがやいている。そして、剥落した金泥の薬師如来か何かの仏像の足元から、朱金の焔がメラメラと厨子の一角をなめ上げているのでした。

火事! と誰やら絶叫して騒ぎ出すうちに、紅蓮は厨子から円柱をつとうて縦横に本堂の梁へ。

「おのれッ」

「法達ッ、法達」

すさまじい物音が、その時、内陣のうしろにあたって響きました。

本堂の裏に火を放って、その騒ぎにまぎれて逃げのびようと計った和尚の法達は、自分のそそぎかけた油の煙と炎に追い出されて、潜伏していたそこを走り出したとたんに、

「それッ、法達だ」

「御用」

と、八方から呼ばわる捕手に追い廻され、とどのつまり、僧房の一隅に袋づめにされて、十手の乱打に気をうしない、高手小手にしばりあげられる。