Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lisez 滝口 (たきぐち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 49 815 caractères · 99 écrans
おりうは眼を伏せて、暫くなにか考えていたが、ふいと自分の盃に手酌で酒を注ぎ、眼をあげて安宅を見た。
「いつ袖ヶ崎へ伴れていってくださるの」
「こっちはいつでもいい」
「では」と云っておりうは指を折って日を数えた、「そうね、では、――あさってにしていただけるかしら」
「いいとも」頷いてから、安宅は思いだしたように箸を取って、膳の上を見た、「――忘れないうちに箸をつけておこう、たまごっていう魚だそうだな」
「あたし魚のことはなんにも知らないんです、旦那が釣って来たのは夏のはじめごろでしたわ」
安宅は皿の魚を見て笑った、「やまめだ、――あまごともいうが、あのちびのやつ、たまごとはねえ」
その夜はいつもより早くひきあげた。それでも九時ごろにはなっていたろうか、雪はやんでいたし、道は白く冰って足許が明るいから、提灯は持たずに衣笠を出た。南小町へ曲る辻のところで、左側の町家の軒下に、なにか高ごえで喚く声が聞え、益村安宅は立停ってそっちを見た。――雨戸の閉まった小さな家の暗い軒下に、一人の男が両足を前へ投げだして坐り、頭をぐらぐらさせながら、片手を振りあげたり、拳でなにか打つようなまねをしたりして、よくまわらない舌で喚きたてている。