Classiques japonais avec furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lisez 猟奇の果 (りょうきのはて) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 134 971 caractères · 270 écrans
「打ってやろうか。引金を引っぱればズドンと行くのだ。だが、打ったら大変なことになるんだぞ。打っちゃいけない。打っちゃいけない」
併し、いけないと思えば思う程、引金にかけた指が独りでに曲って行った。誰か止めてくれと泣き出しそうになりながら、とうとう、引金が動いた。ワッ、しまった。と思った時には、ブスッという慄え上る様な音がして、煙硝の匂がパッと鼻をうった。
目をそらしたが、目の方で釘づけになった様に、相手を見つめて動かなんだ。
幽霊男は、まるで別人の様な、変な表情で、黙って突立っていた。両眼は開ける丈け開いて、愛之助の方を向いていたが、それが妙なことに、睨みつけられているという感じは少しもしなかった。
拡げた両手の先丈けが、掴みかかる様に、可愛らしく一寸動いたかと思うと、やがてグッタリ両脇に垂れてしまった。
白いワイシャツの胸に、焼け焦げたみたいな小さな穴が開いていた。奥底が知れぬ様な黒い穴だった。見る見る、その穴から絵の具の様な真赤な動脈の血が、ブツブツと泡を吹いて湧き出し、細い川となってツーッと流れた。
同時に、男の大きな身体が、溶ける様に、或は、くずれる様に、ヘナヘナと俯伏せに倒れて行った。