Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lisez 猟奇の果 (りょうきのはて) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 134 971 caractères · 270 écrans
と叱って、グッグッと引っぱる。引っぱられるままに、品川の顔が節穴に近づく。真赤な光線が彼の汗ばんだ額を斜にサッと切る。そして遂に、彼の目は吸い寄せられる様に、小さな穴に、ピタリと喰っついてしまった。
青木は闇の中に目を据えて、次第にはずむ品川の呼吸を、若しや先方に悟られはせぬかと、ヒヤヒヤしながら聞いていた。
板壁の向うでは、低い囁き話と、時々身動きをするらしい物音が聞える。
暫くすると、はずんでいた品川の呼吸がピタリと止まった。アア、とうとう彼は向う側の品川の顔を見たのだ。両品川が正面切って向きあったのだ。
品川の右手が、青木の肩先をグッと掴んだ。「見た」という知らせである。死んだ様に止まっていた呼吸が元に復すると、前にもましたはげしい息遣いで、彼の全身が波打った。
アア、かくも不思議な対面が、又と世にあろうか。品川四郎は今、真赤な幻燈のまん丸な視野の中で、一間とは隔てず、自分自身の姿を凝視していたのだ。しかも、…………。
彼はまるで続飯づけになった様に、いつまでたっても節穴から離れようとはしない。肩先を掴んだ彼の指の表情によって、彼の………………………、…………………………、青木は板壁の向う側の光景を、目で見る以上に想像することが出来た。