Classiques japonais avec furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lisez 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 496 caractères · 368 écrans
(そうだそれに!)
と彼女は思った。
(同志の間に萩丸様が、まだ捕えられているようなら、同志や萩丸様に邂逅して、もう一度萩丸様を騙しすかして、宥免状を書かせたらいい)
(まあ何んだってわたしたちみんなは、そのことに早く気が付かなかったのだろう。……どうして一枚のあの宥免状ばかりに、今日までこだわっていたのだろう?)
このことを思うとおかしくさえなった。
(逃げよう)
と菊女は決心した。
洞の口へ行ってみた。
二、三人の者が附近にいたが、人声がかしましく聞こえて来るところの、林の奥の方へ注意を向け、こっちへは背中を向けていた。
(有難い)
と菊女は感謝しいしい、素早く洞の口から出て、洞に添って岩山の背後へ、栗鼠のように小走った。
幸い誰にも気づかれなかった。
林の中へ飛び込んだ。
(もう大丈夫! もう大丈夫だ!)
彼女は一散に林の中を走った。
もちろんこれというアテはなかった。
(ともかくも海岸へ!)
――で下へ下へと走った。
三十郎は部下を率い、林の中をさがし廻っていた。
「侍というのはどんな奴だった?」
「若い野郎でござんしたよ」
部下の一人がそう答えた。
「女というのはどんな奴だった」