Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

Lisez 白髪鬼 (はくはつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 046 caractères · 224 écrans

Aozora Bunko

白髪の老人が、あの縞柄を地味だと不平を云ったかと思うと、わしは気恥かしくなって、泣き出し度い様な気持で答えた。

主人から古袷を受取って、経帷子の上に重ね、序に帯も一本出して貰って、それを締めると、わしはもう一度鏡の前に立った。まるで刑務所から放免されて、差入れ屋で着換えをしたという恰好だ。アア、この姿では、どんな親しい友達だって、わしを大牟田子爵と思うものはあるまい。川村でも、妻の瑠璃子さえも、よもやこの老人がわしだとは見破り得まい。

わしはふと試して見る気になって、老主人に尋ねた。

「お前さん、大牟田子爵をご存じかね」

すると老人は、やっぱり以前のわしを知っていたと見え、

「知らないでどうしましょう。元の殿様の若様ですからね。大変評判のよい方でしたが、惜いことをしました」

と答えた。

「惜いことと云って、どうかなすったのかね」

わしは何食わぬ顔で尋ねて見た。

「地獄岩から落ちて、おなくなりなすったのですよ。あなたは他国の方と見えますね。それとも新聞をごらんなさらないのですか。それは大変な騒ぎでしたよ」

「ヘエ、そうかね。で、そのなくなられたのは、いつのことだね」