Classiques japonais avec furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lisez 竹柏記 (ちくはくき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 798 caractères · 91 écrans
という希望を出してきた。
岡村八束のほうは、孝之助がもう宣言してあった。杉乃に対して、両親がどう説得したか、杉乃が本当に承諾したか、どうか。孝之助はまったく知らないし、また知ろうとも思わなかった。彼はただ、杉乃の一生を幸福にしてやりたい、八束と結婚すれば不幸になる惧れが多分にある、自分のところへ来て呉れさえすればいい、自分なら、決して不幸にはしない。こう思うばかりであった。
婚約のできたすぐあとのことであるが、城中で鉄馬から呼びかけられた。
――話したいことがあるのだが。
こう云う顔いろを見て、孝之助はそれには及ばない、と首を振った。鉄馬は初めからこの縁組に反対していた。そのときも彼がなにを云うか、孝之助にはおよそわかった。それで、大丈夫だよと、微笑して云った。
――おれはあせらない性分だからね、時間をかけるほうは得意だから……。
鉄馬はそのとき、黙って眼を伏せた。
祝言の三日まえ、午後から雨になった日のことであるが、孝之助が城をさがって来ると柳の辻のところで、岡村八束に呼びとめられた。
「ちょっとそこまで、つきあって貰いたいんですがね」
傘を傾けて、こちらを覗きこんだ、その息はつよく酒の匂いがした。