Classiques japonais avec furigana
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かがりびのおんな
篝火の女
吉川 英治
Lisez 篝火の女 (かがりびのおんな) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 727 caractères · 56 écrans
失恋軍功帳
裳を高く括げあげて、草鞋をはき、竹の子笠を被り、短い小脇差を差しているのである。
『戦の後には、きっと、便りをよこします。お菅も、無事で暮してください』
白い雨の光が、軒先に光った。
泥濘の闇へ消えてゆく跫音を見送って、丑蔵はそこを閉めたが、上にはあがらなかった。お菅が見ると、良人も、草鞋の緒を結んで、蓑を被ろうとしているので、
『おまえさん、これから、何処へ出かける気だえ』
と、咎めた。
丑蔵は、笑って、
『金儲けだ。――密訴した者には、銀五十貫をつかわすと、御高札に出ているのを知らねえか』
失恋軍功帳
数百頭の馬の背が暗い河原にならんで雨に打たれていた。夜が明けたら川を越えるばかりにして兵も将も甲冑をつけたまま小屋や幕の蔭に眠っている。
舟橋の入口には、大篝火が二ヵ所に焚かれ、その赤い光をよぎって、軍夫や、商人や、農夫や牛馬などが、夜どおし往来していた。誰の眼にも、戦時だという緊張した光があった。
『組頭っ。――お頭っ』
濡れた陣幕の中へ、首を入れて、丑蔵がどなった。
軍夫頭の魚住十介が、すぐそこの番小屋で、番士たちと共に、戦の話をしていた。
『なんだ?』