Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かがりびのおんな

篝火の女

吉川 英治

Lisez 篝火の女 (かがりびのおんな) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 727 caractères · 56 écrans

Aozora Bunko

黒髪刺客

轡虫が、いい音で啼きぬく。

陣幕のすそにたかっている蟋蟀の影までが、透いてみえる程に月は冴えていた。

と――その虫の音が、はたとやんだ。幕の外へ、いつのまにか、小猫のように這い寄って来て屈み込んでいる人影がある。

短い刃をうしろに秘して、陣幕のすきから寝息をのぞく――。黒髪をうしろへ長く垂れた田舎娘の刺客だった。

『熊楠ッ。――思い知ったかっ』

陣幕を刎ねあげて、躍りこむと、

『あっ、何するんだ』

と、そこに寝ていた町人がとび起て、彼女の腕をつかんだ。見ると、いつか古河の畑で別れたきりの外郎売だった。

『や? お前は、どうしてこんな所に』

『何のふしぎがあるものか。いつも薬を売りに来る御陣屋だもの』

『熊楠は、熊楠は』

『あぶねえ物を持ってるな。まあ離せ』

『お嬢様の御無念ばらし、刺しちがえて死ぬる気じゃ。おのれも、熊楠の手の者か』

『面倒くせえっ』

外郎売の男は、萩乃を組みふせて、声を出さないように、顔を布で縛った。そして、もう一重、内側の陣幕を上げて、

『相木様』

『おう、憎ッくい奴だ、八雲の召使いだな』

『どういたしましょう』

『その成敗は、貴様にまかせる。――今夜のうちにだぞ』