Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かがりびのおんな

篝火の女

吉川 英治

Lisez 篝火の女 (かがりびのおんな) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 727 caractères · 56 écrans

Aozora Bunko

――然し、それも儚い恃みのような気もする。

やがて、並木の口にかかると、

『おっ、うしろから黄母衣が来たぞっ、道を寄れ』

足軽頭が、槍をふって呶鳴った。

黄母衣は使番の目印だ、急な使者は陣中でも駈けぬけをゆるされているし、列も横切る場合すらある。その黄母衣組の士が一騎に、ただの騎馬武者が五名ほど、一頭の裸馬を中に囲って、黄塵の中から次々に姿をあらわし、驀っしぐらに、眼のまえをよこぎって彼方へ駈け去った。

その一頭の裸馬の背には、ひとりの女性が、荒縄で縛りつけられていた。前後の武士は、相木熊楠の手の者だった。

『おう、女だ』

『おとといの夜、御本陣で捕まった女じゃ』

一瞬だが、足軽たちは、女という声だけで、わいわいわいとはしゃぎ合った。萩乃も、それをチラと見た一人であった。はッと思うと、全身の血がのぼって、起ちかけた頭に、ぐらぐらと眩いが来てしまった。

『やっ、餅売りが、牛車から落ちたぞ』

『病気が出たか』

『抛ってゆけ』

『いや、女は、かあいそうだ』

荷駄の小者が三、四人駈け戻って行って、埃の中から彼女をかつぎあげて来た。

――絶え間なく、牛車の轍は廻って行く。