Classiques japonais avec furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lisez 聞書抄 (ききがきしょう) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 821 caractères · 210 écrans
。その頃木村常陸介は淀で普請の奉行をしていたが、七月四日の夜、五人の使者の跡を追うて女房輿で聚楽へ参り、御台所からその輿のまゝ奥の間へ乗り入れて、密かに秀次に謁し、何事か相談してその夜のうちに再び淀へ帰ったと云う。然るに石田三成は、常陸介の家中にも間者を三人まで入れて置いたので、直ちにそのことが上聞に達した。又五日には、毛利右馬頭輝元から、秀次公、去春白井備後守を差下、如此之案紙を以、誓紙を沙汰し、入魂いたすべき旨仰せけるに因って、書き上げたる旨を、石田治部少輔を経て言上に及び、併せてその案文なるものを證拠として差し出した。或は順慶の説くが如く三成の細工や手加減が施されていたのかも知れないが、こんな工合に種々な方面から注進があり、怪しい書類までも提出されると云う有様で、追い/\都鄙が騒がしくなって来るので、父子の間にとかくの浮説が出来ると云うのも直談がないからである、急ぎ秀次是へ参られ候え、結れぬる氷を春風の解くように、互のおもわくを晴らして和睦あるべしと、再び宮部善祥坊、徳善院玄以僧正、中村式部少輔一氏、堀尾帯刀先生吉晴、山内対馬守の五人を迎えの使者として、聚楽へ遣わすことになった。