Classiques japonais avec furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lisez 聞書抄 (ききがきしょう) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 821 caractères · 210 écrans
願う所の幸いでござります、人数も凡そ三萬餘りはござりましょうが、萬一御運が盡きましたら、その時こそお心静かに御生害なされませと云う。木村常陸介が申す様は、この期に臨み、いかに退いて身の潔白を證し給うとも、太閤殿下に限っては、御宥免あるべからず、とてもかくても逃れぬ場合故、五人の使者を討ち果たし、今宵伏見へ取り懸けて火を付け、城を枕として戦い申さんは、弓矢取っての面目、君も戦場に御名をお残しなされましょう、然らずんば京中を焼き拂い、此の城に於いて一と支え支えられては如何、先ず京中の兵糧を取籠め、玉薬を用意して、城を固く堅められたら、曖になるのは知れたこと、その時は十分の利を得られましょうと云う。秀次も今は必死、絶体絶命の際であるから、途方にくれて言句もなく、溜息をついていると、常陸介は威丈高になって、君が斯くまで言う甲斐のないお方であろうとは存じませなんだ、只今伏見へお越しなされたら、二度と都へはお帰りになれませぬ、高野へお登りなさるゝか、雑兵の手に懸り給うか、遠国へ流されて俊寛の憂き目を見給うか、又は介錯人もなき御生害を遂げらるゝか、そうなってから後悔あるとも追い着きは致しませぬぞと、声を励まして諫めるのであった。