Classiques japonais avec furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lisez 聞書抄 (ききがきしょう) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 821 caractères · 210 écrans
、並みいる方々の心も空になったと申します」
挿絵
しかし一方、聚楽第にいる秀次は、これらの未曾有の大作業が捗って行くに従ってどう云う感じを抱いたであろうか。派手好きな太閤のことであるから、萬事の結構に善を盡し美を盡すのは今に始まった訳ではないが、大明国との和議が整いかけて、凱陣の士卒が纔かに休養する暇もなく、又もや斯かる普請を起して諸国の人馬を労すると云うのも、つまるところはお拾に対する愛情の結果であると思えば、彼には伏見の城と云うものが、つい鼻の先に一敵国が現じたようにも映ったであろう。そうしてそれに刺戟された彼は、我が国の歴史に例の少い暴君性を発揮して、次第に嗜虐的になったのであろう。聞書の主人公順慶は、内心秀次を庇う気があるのでその暴状を事々しくは述べ立てゝいないが、それでも次のように語るのである。
「関白殿のお振舞につきましては、愚僧がお城へ上りまする前からそのような噂がないこともござりませなんだ。文禄二年と申す年は正月に先帝がおかくれになりましたので、天下一統、生類を殺すことを慎み、畿内近国は浦々の猟漁をいたさず、洛中にては魚鳥を販ぐ物売りの声も聞えないほどでござりましたが、関白殿は世の思わくをもお考えなさらず、とき/″\北山や西山あたりへお出ましなされ、鷹狩や鹿狩をなされましたので、何者の仕業か、