Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろんごものがたり

論語物語

下村 湖人

Lisez 論語物語 (ろんごものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 688 caractères · 266 écrans

Aozora Bunko

むろん孔子は、音楽の道にずいぶん深くはいっている人だから、楽長としても、彼を甘く見るわけには行かない。しかし、そのために手が固くなるのだとは、楽長自身も考えていない。

(なるほど孔子は音楽の理論には長じているだろう。しかし、実際楽器を握っての技術にかけては、何といっても自分の方が玄人だ。)

そう彼は自信している。それにも拘らず、こう頻々と失敗するのは、どういうわけだろう。腹も立つ。恥かしくもある。しかし、事実は如何ともしがたい。

彼は、両手の指を髪の毛に突っこんで、卓の上に顔を伏せた。自分の腑甲斐なさが、たまらないほど怨めしくなって来る。そして、その感じは、次第に孔子に対する怨恨にすら変って行くのであった。彼は、それに気がつくと、おどろいて顔をあげた。そして、その忌わしい感じを払いのけるように、両手を胸の前で振った。

その瞬間、彼はちらと自分の眼の前にある光が横切るように感じた。孔子の眼の光である。湖のような静かな、しかもかすかに微笑を含んだ孔子の眼のかがやきである。彼は、ふと何か思い当ることでもあったように立上った。

(そうだ、あの眼だ!)

と、彼は心の中で叫んだ。