Classiques japonais avec furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans
その人たちのなりは、黒っぽく、大半が壮年を越した年輩の人だった。ブルヴァールせましと歩いていたあの薄色の派手なスーツの若い連中、享楽こそモラルだというような眼つきをしてソフトを斜めにかぶって歩いていた連中は、みんなどこかへ行ってしまった。
「パリがパリの人たちのところへ還って来たのね」
「しかし、こんな風じゃ、やっぱり困るんだろうな。何て云ったってフランスは遊覧客のおとす金とアメリカが買う贅沢品で、バランスをとって来ているんだから」
リボリやブルヴァールの高級装身具店は、恐慌などに浮足たたない誇りをもって豪奢な店飾りをしている。
ブルヴァールを中心として、伸子はあの通りからこの街すじへと、思いつくままに曲ったり、つっきったりして歩いてゆく。蜂谷良作は、あきる様子もなくそれにつきあっているのだったが、
「佐々さんと歩くのは、おもしろいね」
と云った。
「出たらめみたいなくせに、こうしてみると、一種のかんで歩いている」
「――わたしが読めないからだわ。眼と足とで見るしかないからよ」
「そうばかりじゃないな。――部屋をみて歩いていたときね、あのとき僕は気がついたんだ」