Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans
伸子はしびれるような単調な淋しさにかこまれながらあやしんだ。部屋がガランとしているということが、こんなはげしい淋しさの原因となるものなのだろうか。しかしグーセフ夫婦はあっさりしたいい人間なのだ。伸子は自分をぐっとおちつけようとつとめるのだったが、ちょうど水をたたえた円筒の中でフラフラ底から浮上って来るおもちゃの人形のように、いつの間にか伸子の体も心も、深い寂寥の底から浮きあがって一心に寂しさを思いつめているのだった。淋しさははげしくて、ぬけ道がないのに、奇妙なことにはその淋しさにちっとも悲しさや涙ぐましさがともなっていなかった。伸子を淋しくしているそのがらんとした部屋がそうであるとおり淋しさは隅々まで乾いていて、コンクリートの乾燥してゆくにおいに滲透されているのだった。乾ききって涙ぐみもしない淋しさ。それは伸子にとって勝手のしれない淋しさだった。二つの黒目が淋しさでこりかたまったような視線を窓ガラスに釘づけにしている伸子の髪が、その晩は風変りだった。スタンドのかさを買う道で、伸子はクズネツキー橋の行きつけの理髪店によった。そこは男の理髪師ばかりでやっていて、評判がいいだけにいつもこんでいた。