Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 006 caractères · 25 écrans
六
もういちど八五郎の袖を引くもの、――振り返るとここまで跟いて来たお雪は、大きな眼に一パイの悲しみを湛えて、八五郎をさし招くのです。
六
「親分、驚いたの驚かねエの」
八五郎は息せききって平次の家に飛び込みました。
「どうした、八?」
「大変ですよ、親分。ちょいと来て下さい」
「何をあわてるんだ。――お前があんまり尺八に凝るから、先刻下っ引の辰を跟けさせたが、逢ったか」
「その辰に逢って、お弓町の家を見張らせて来ましたよ。――何しろ小判で二千両でしょう。いや驚かねエの」
「俺の方が驚くぜ、尺八に憑かれたり、小判に憑かれたり」
「まず聴いて下さいよ、親分。こうだ」
ガラッ八は夕方からの事を詳しく話しました。大坂の実家の事を訊かれて竹斎の滝三郎が面喰らった様子、上役人や銭形平次が眼をつけていると知って、観念したものか、丸橋忠弥の穴蔵に案内してガラッ八に二千両の袖の下を掴ませ、事件をウヤムヤにさせようとした経緯、わけても妹のお雪が、兄を庇うのか、八五郎の身の上を心配するのか、涙を流さんばかりに拝んだ話まで――八五郎の口から聞くと、尾鰭が付いて、なかなかに面白くなります。