Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 804 caractères · 225 écrans
「小石川陸尺町(安藤坂下――昭和十八年頃の水道町)の成瀬屋総右衛門というのを親分は覚えているでしょうね」
「陸尺町の成瀬屋総右衛門――二三年前に御府内を騒がせた大泥棒蝙蝠冠兵衛を生捕って、お上から御褒美を頂いた家だね」
平次はよく知っておりました。そのころ義賊と称した泥棒で、その実、百両盗って、十両か五両を貧しい者に恵み、あとの大部分は自分の懐ろに入れた蝙蝠冠兵衛は、自分の良心を欺いて、無智な世間の人気を博することと、いかなる締りも、なんの苦もなく開けて忍び込む天才的な術を心得ている点で、有名だった男です。
その蝙蝠冠兵衛ほどの強か者も、伝通院前の成瀬屋に忍び込んだ時は、取返しのつかぬ失策をしてしまいました。
小石川切っての大地主で、巨万の富を積んでいる成瀬屋は、蝙蝠冠兵衛に狙われると知って、屋敷の内外に鳴子を張り渡した上、幾つも幾つも罠を仕掛けて、苦もなく忍び込んだ巨盗冠兵衛を生捕りにし、番頭で用心棒を兼ねた伝六という男が、さんざん冠兵衛をなぶりものにした揚句、半死半生のまま役人に引渡したのでした。
蝙蝠冠兵衛は間もなく鈴ヶ森で獄門になりました。