Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 804 caractères · 225 écrans
――と次の一人。
「あのお町という娘は感心な娘で、四五年前までさるお大名に奉公していたが読み書きから武芸まで一と通り以上に出来る上、女ながら弓が名誉で、総右衛門が引取ると言ったとき、奥方がたいそう惜しがったということですよ」
こんないろいろの情報の中から、平次は自分に必要な材料をかき集めているのでした。
「親分」
最後に飛込んで来たのは八五郎です。
「なんだ、八」
「お町は今晩中保たないかも知れませんよ。町内の本道(内科医)が、この娘の病気は大して重くはなかった。本人が気が弱くて一日の半分は床の上にいたが、それでも弱った身体だから、毒にやられては一とたまりもない――と言うんで」
「病気は大して重くはないと言ったな」
「え、――それが、乱暴じゃありませんか、今朝に限って若い娘のくせに、味噌汁を二杯も替えて喰べたそうで」
「病人が、味噌汁を二杯? よし、行こう」
「どこへ行くんで、親分」
「お町に逢っておきたい。死なれちゃ大変だ」
宵も夜中もありません。平次とガラッ八は、そのまま小石川陸尺町まで飛びました。
成瀬屋に着いた時は、平次が恐れたように、お町はもう頼み少ない姿で、医者もすっかり匙を投げ、時の経つのばかり待っておりました。