Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 804 caractères · 225 écrans
「お前は本当に寝ているうちに曲者が二階へ登ったと思うのか」
八五郎は要領の良い口を出しました。
「そんなはずはないから、不思議なんで。あっしはね親分、ほかに取柄はないが、酒を飲まないのと眼敏いのが自慢なんで――旦那がそれを見込んで年に十二両という高い給金を出して下さったんだ。梯子段の下に寝ているあっしの身体を跨いで、二階へ登ってあんな大それた業をするのは、石川五右衛門だって出来ることじゃありませんよ。それに廊下の雨戸は上下の桟をおろした上、いちいち閂が入っているんですよ」
いま腹を切ろうとした力松は、勢いよく弁じ立てるのです。なるほどそう言えば、力松に眠り薬でも呑ませない限り、この関所は通れそうもなく、よしんば力松を買収したところで、ここからさまで遠くない店の衆の寝息を窺って、曲者を引入れるのも容易な業ではありません。
「それほど申し訳の筋が立つなら、腹を切るにも及ぶまい――ところでお前がここに雇われた筋道はどうなんだ」
新吉は一歩踏込みます。
「あっしの叔母が、大旦那の里親だったんで、毎年の出代り時には、今でも叔母の子――あっしの従弟が吾妻屋の奉公人を引受けて、村から出します。