Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 804 caractères · 225 écrans
「こいつは弱ったなア」
見掛けに寄らぬ弱気の八五郎は、神田に帰るに帰られず、そのまま、ろくなお小遣もないくせに、親分の平次を迎えに、品川の方へ辿っておりました。駿府へ行った平次は、今日か明日は帰らなければならなかったのです。
*
川崎で平次に逢った八五郎は、そのまま有無を言わせず、石原町へ引っ張って行きました。
「待ちなよ、何という事だ。長い旅から帰ったばかりじゃないか。女房も待っているだろうし、こんな顔でも見せて安心さしてよ、それから出直したところで遅くはあるまい」
そんな事を言う平次も、とうとうガラッ八の熱心に負けてしまった事は言うまでもありません。
吾妻屋へ旅装束のままで行った平次は、内外の様子を念入りに見た上、一人一人を呼び出して、離屋の、二階で調べました。中でも下女お石とお喜多が念入りで、これはざっと小半刻(一時間たらず)ずつ、一と通りそれが済むと、奉公人から娘お喜多の手廻りの品を見せて貰い、お喜多の持物の中から、中ほどで引き千切った紅鹿の子縮緬の扱帯を一本取出し、それを預かってさっさと神田へ引揚げたのです。
自分の家へ帰って、一と風呂浴びて来て、久しぶりで一本、女房の酌で始めたところへ、我慢のならぬガラッ八が顔を出しました。