Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 804 caractères · 225 écrans

Aozora Bunko

その日も何の発展もなく暮れて、平次が引揚げの仕度をしている時、

「親分、伊勢屋新兵衛が来て、入口で威張ってますよ」

近所の衆が苦々しく取次いでくれます。

「構わないから、ここへ通そう」

「大丈夫ですか、少し酔ってるようですから、仏様の前で何を言い出すか、わかりませんよ」

「言わせるのも功徳だろうよ」

ガラッ八は心得て行くと、まもなく三十二三の色の黒い頑丈な男を連れて来ました。――高い背、よれよれの茶万筋の袷――。

「あ、銭形の親分」

伊勢屋新兵衛の顔には、一瞬躊躇の色が浮びましたが、思い定めた様子で棺の側に近づくと、しばらく物も言わずに突っ立っておりました。やがてどっかと膝を突くと、線香を一と掴み、ムラムラと立ち昇る煙の中にガックリ首を垂れました。

念仏一つ称えるでも、拝むでもありませんが、中年男の眼からは、大粒の涙がボロボロとこぼれます。

「見ろ言わないこっちゃない――」

新兵衛の唇からは、罵倒というよりは、泣き言とも愚痴ともつかぬ言葉が突いて出ました。

「――俺があれほど言ったじゃないか。――私がいなきゃ生きていられないという男が、町内だけでも十人はあるとお前は言ったが、――見るがいい、お前が死ねば、一人も顔を出しゃしない、皆んなこの先呑気に生きて行ける証拠だ。