Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 804 caractères · 225 écrans
後で店の者や近所の人の噂を集めると、総兵衛はこの美しいお道の方を溺愛して、同じような関係の姪でありながら、これに聟を取って、相模屋の跡取りにするつもりであったようです。
「私は何にも知りません。――どうしたらいいでしょう」
何か訊かれれば、そういっておろおろするお道――そのすぐでも泣き出しそうな美しい顔を見ていると、平次も手の下しようがありません。ただ、伯父の世話は一切お杉が引受けてするので、自分は何にも知らなかったということ。夜はお杉と同じ部屋に寝るが、二人ともよく眠るので、地震や近所の火事さえ知らずにいて、翌る朝、よく店の者に笑われる話など、まことに他愛もない口振りです。
「逃げた権八はどうだ」
平次は問いを転じました。
「正直者で、よく働きました。でも、本当の田舎者で――」
お道の頬は少し綻びます。
手代の徳松というのは二十五六、これは店中で一俵の米を扱い切れないただ一人の弱い男で、色の白い背の高い美男でした。
「主人は商売柄六十を越しても、一俵の米が軽いという人でしたが、私は御覧の通りの病身で、帳面の方ばかりやっております」
そういって淋しく笑うと、女のような表情になるのを、徳松は、自分でもひどく恥入っている様子です。