Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なべしまかいのかみ
鍋島甲斐守
吉川 英治
Lisez 鍋島甲斐守 (なべしまかいのかみ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 322 caractères · 23 écrans
――半田屋の後家の云い分を、肯いてやるのか、嫌か』
『おそれながら……その儀はどうも』
『和解せぬというのだな』
『貸した金と利とを、揃えてくれるというならば、和解いたしてもよろしゅうございますが』
『それなら、公事にはならぬ。……どうじゃ彦兵衛、そちも、生涯に一度ぐらいは、善き事をしては』
『よい事なら、いつでも致したいと思いまする』
『だから、云うておるのじゃ。おまえの事を、街の者は、鬼と云うておるが、甲斐守の眼から見れば、おまえは決して、元来そんな悪党ではない、肚の中には、やはり善性がある者と見ておる。ただ高利貸という家業が、おまえを鬼に作っているのだろう』
『御尤でございます、その通りでございます』
彦兵衛は、欣しそうにもじもじした、細い眼を、よけいに細くして、奉行の顔を、知己のように見あげた。
『それみい、賞められれば、そちは欣しいだろう。些細な善を褒められてもそうだ。まして、大きな善をなせば、それだけ大きな欣びがある。鬼だとか、人非人とか、世間から死ぬまで唾を吐きかけられて居たくもあるまい』
『へい』
『生涯一度の善事をするつもりで、此度の公事は取下げて、半田屋の後家と和解してやれ。