Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans
でなければ一生このまま日蔭者にしてやっておいて下さいませ。子が可愛いからです。ほかの七人方も、お頼みいたします。こういって最期の眼を閉じた」
「…………」はッ、はッ、と、聞こえるような息をついて孫兵衛は無言。
「と――原士の長、七人の肉親たちとともにしばらく黙祷をささげ、死者の前で厳然とお前にいい渡した。孫兵衛聞けよ、その与えられた恩愛の秘密をみずからやぶる時は、貴様、たとえどこに逃亡潜伏しても、必ず、五十日の間に命を奪るぞよ! と……」
ふと、落涙していたらしかったが、お十夜孫兵衛、いきなり猛然と、大刀の鍔ぶるいをさせて世阿弥の胸もとへ跳びかかった。
「ええ、果てしがねえ! ぐずぐずしちゃいられねえんだ、片づけるから覚悟をしろ」
「待て、もう一言」
「ちッ、未練を吐かすな」
「隠密根性といおうか、ここで、最期に一目見せて貰いたいものがある。わしも甲賀世阿弥だ、なんでこの期に見苦しい死にざまを望むものか。実をいうと、わしはその晩の有様を覗いた後から、お前のかぶり初めた十夜頭巾の下に、おそろしい興味と執着を持った、隠密の執着だ。得心のゆくまで見届けなければ気がすまぬ。