Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans
とは心配をしていない。
龍耳老人の胸には何か、しかとした方寸がたたみこまれているものと信じて、少しも行く先に危惧を感じていないようであった。
「ここに待っていてもしかたがあるまい」
龍耳老人の目を放れて、お十夜はすこしのンびりしたようなふうで、
「オイ周馬、三の木戸の番小屋まで行って、明方まで藁ぶとんでもかぶろうじゃねえか。どうせ今夜でなくても、袋の鼠、片づくにゃ決まっている弦之丞だ、麓口さえ縫いこんでおけば、何もあわてることはない」
松明がとぼりきれたので、ふたりの原士は、スタスタ先へ下ってしまった。
孫兵衛も踵をめぐらして戻りかけたが、周馬の相槌がきこえないので、ひょいとふりかえってみると姿が見えない。
「おい、どこへいったんだ!」
――奴、先へいってしまったのかしら?
気がついて、にわかに大股にあゆもうとすると突然、切ッ立てになった断崖の下で、
「孫兵衛! 孫兵衛!」
と急きこんで呼ぶ声がする。
「おう、周馬? ――」
――闇をすかして、
「なにをしているんだ、そんな所で、先のやつは下ってしまったぜ」
「また、ここにも一ツ、死骸を見つけたのだ」
「ほうッておきねえ、どうせあした、麓のやつが片づけるだろう」