Classici giapponesi con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate
八の二
「女っていいもんだ、この世に女ほどいいものはねえな」と清七は続けていた、「――初めておとよのからだへ触ったとき、あんまりやわらけえのとあったけえので、うっかりすると溶けちまうかと思った」
これもまた繰返しなのだが、清七自身にはどれほど繰返しても飽きないし、新鮮さが失われることもないようであった。
「おまけにあの声がまたなんとも云えねえ、あの声を聞くたびに、おらあ眼まいがしそうになっちまうんだ」
外へ人の来る足音がし、雨戸があけられた。すると、夕方の光といっしょに風が吹き入り、部屋の中のむれたような空気に、潮の香が爽やかにしみ込んだ。はいって来たのはいつもの下役人ではなく、元締同心の岡安喜兵衛であった。
「ぶしゅう、会いたいという者が来た」と岡安は云った、「手鎖を外してやるから出ろ」
八の二
元締同心が自分で来たのは、否応を云わせないためだろう。そう察したので栄二は返辞をしなかった。岡安喜兵衛が振り向くと、定番の下役人がはいって来て、栄二の手鎖の鍵を外した。
「ひどい蚊ではないか」と岡安が下役人に云った、「蚊遣りを焚いてやれ」
下役人は訝しそうな顔をした。