Classici giapponesi con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate
十一の三
「冗談じゃあねえ、とんでもねえ」
「嘘だと思うんなら机の上を見てくれ、これを手本にした書き反故が溜ってるから」
「だってそんな、おれのようなこんなへたくそな字をおめえ」さぶは戸惑って吃った、「そいつは栄ちゃん罪だよ」
十一の三
「そうじゃねえんだ、この字はへたじゃあねえんだ」と栄二は力をこめて云った、「――おれも初めはそう思ってた、ついこのあいだまで、なんてまあへたくそな字だろうって思ってた、ところがおちついてよくよく見ると、へたどころか本筋の字だってことに気がついたんだ」
手習いをするのにうまい字を書こうと思うな、と芳古堂の親方が諄いほど云った。うまい字を書こうとすると嘘になる、字というやつはその人の本性をあらわすものだ。いくらうまい字を書いても、その人間の本性が出ていないものは字ではない。上手へたは問題ではない、自分を偽らずただ正直に書け、親方はいつもそう云っていた。
「覚えてるだろう、さぶ」栄二はさぶから手紙を取り戻し、それを膝の上でひろげた、「おめえを前に置いて云いにくいが、この字こそ本筋なんだ、仮に字だけに限るとすれば、おめえはおれの上に立ってるんだぜ」